シン・つれづれ草

シンガポールに暮らし、感じたこと、思うこと、体験したことなどを綴ります

9月入学賛成?反対?

9月入学への移行を巡る論議がかしましい。アンケート結果からは、10代から30代くらいまでは圧倒的に反対が多く、40代でトントンになり、50代以降になると賛成が増えるようだ。ちなみに私は50代で、賛成派です。やればいいじゃん。メリットの方が絶対に大きい。で、なぜアンケートの結果がこういう極端な形になるのか、分析してみるのもおもしろい。

このアンケートは、多分どうでもいいとか、どっちでもいいとか思ってる人はあまり回答しない。よって強く反対あるいは賛成と思っている人が回答することになる。そして10代の回答者は、当然自分自身への影響という観点で回答している。振り回すのはやめてくれ、僕の来年の受験はどうなるんだー、と。一方で当事者である10代でも、「別にいいよ」と思っている人もそれなりの数いると思うのだが、じゃあ積極的に「賛成!」と思う人は少ない。特にメリットはないので。よって極端に反対が多く、70%以上とかいう数字になる。20代、30代は、おそらく幼児から小学生くらいの子供を持つ親が、自分たちの子供の受験という観点で、10代と同様の発想で反対を表明している。

50代になるとかなり子供の受験がひと段落している人が増える(僕もその一人)。そうすると自分のことではなく、客観的に制度として4月がいいのか9月がいいのか、という観点で賛成と思う人が回答する。9月がいいと思う人たちは、日本の国際競争力の低下を憂いている人たちだろう。何らか海外と関連する仕事をしていたり、海外との競争に身を置いているから将来の日本の競争力の観点で是非やったらいい、と賛成を回答する人が多い。あまりそういうことに関係のないドメスティックな人は、「ん、9月入学?どっちでもいいんじゃん?」と思うので回答しない。その中間が40代で、こうした学齢期の子供を持つ親と、そうでない人の割合が半々くらいになり、賛成、反対が拮抗する。

とまあ大体こういう構図ではないか。したがって、このアンケート結果は、全体の賛成、反対の割合を表さないし、賛成、反対の観点が大きく異なる。賛成の人は制度論に総論で賛成していて、反対の人は自分自身にふりかかる各論で反対しているということだ。制度論に反対している訳ではない。ということを踏まえれば、総論では賛成が多いのだから、それを実現する方向性とし、各論反対の当事者たちの不利益であったり不安不満であったりが、この短期間に解消したり和らげたりすることが可能か、を丁寧にかつスピーディに検討すべきということになる。

以上は私の分析だが、違う見方もあるだろう。単にアンケート結果を公表したり、ワイドショーで出演者にあなたは賛成ですか?反対ですか?とか質問しても意味ない。メディアは、アンケート結果をきちんと分析し、その分析結果について論議を促し、反対意見にはどういうものがあって、どうやったら当事者の不安不満を取り除けるのかを示して、世論のコンセンサスを醸成すべきと思うのだけど。